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臨床試験における臨床転帰評価の使用に関する著作権の許諾

許可を得るタイミングと理由

著作権はどのように臨床試験や臨床研究に適用されますか。

臨床転帰評価 (COA) は、標準化された質問票、評価、および日誌であり、臨床試験参加者や介護者によって、または臨床試験中に医療者によって記入されます。COA は、新薬と医療機器の両方の臨床試験で試験結果の評価の裏付けとして使用されるデータ収集の重要な「測定方法」として機能します。COA は著作物であり研究成果であるため、通常は、著作権および関連する知的財産権 (IP) に関する法律で保護されます。

世界知的所有権機関によると、著作権所有者は、固有の経済的知的所有権と著作者人格権を有します。前者は、著作権所有者がその著作物から (ライセンス供与などを通じて) 商業的な利益を得ることを可能にします。後者は、著作者であることとその権利、そして無許可での変更を禁止することで著作物の同一性を保護する上で役立ちます。多くの国の法律では、著作者が経済的な権利を譲渡した後も、人格権は個別の著者に残されます。

著作権で保護された著作物を無許可で使用することは、著作権を侵害する個人または企業にとってイメージの悪化や損害賠償のリスクを伴います。リスクを最小化するために、著作権で保護された COA を自分の臨床試験で使用することを希望する依頼者は、事前に著作権所有者からそのための許可を得る必要があります。

ライセンス プロセスは、依頼者の内部チームで管理することも、依頼者からパートナーの CRO、eCOA テクノロジー プロバイダー、または翻訳ベンダーに外注することもできます。ライセンサー間でライセンス要件に違いがあるため、ライセンス プロセスには時間がかかったり、わかりにくかったりする場合があります。このプロセスに関するよくある質問をいくつか見てみましょう。

一般的にライセンス契約は何を対象としていますか。

ライセンス契約は、一方の当事者 (ライセンサー) によって所有または管理されているものに対する権利を、他方の当事者 (ライセンシー) に供与するための当事者間の正式契約です。この契約では、臨床試験で著作物を使用する際の一般条件および特別条件を定めています。通常、ライセンス契約では、ライセンス供与される対象物、供与される権限、適用される制限、ライセンス料、機密および IP の保護、その他当事者間で合意した条項が定められます。

ライセンス契約には、著作権の表示および参照に記載する必要がある文言も含まれます。これを、著作物の要素に基づく、またはそれらを使用する臨床試験固有の資料に追加する必要があります。この情報は、臨床試験での COA の実施に関わる当事者間で共有する必要があります。

事前計画:

ライセンスの使用条件について交渉可能な範囲はライセンサーによって異なります。ライセンス契約の文言で意見の相違があると、当事者間の話し合いが長引く可能性があります。また、契約締結の遅れが、関連する他の臨床試験のフェーズに波及的な影響をもたらす可能性があります。遅延の可能性を最小限に抑えるために、ライセンス プロセスは早期に開始することが推奨されます。

ライセンス料はどのように算出しますか。

ライセンス料の体系と支払条件はライセンサーによって定められます。ライセンス料は、ライセンサーの要求に応じてライセンシーが提供する情報に基づいて算出されます。たとえば、ライセンス料は「利用回数ごと」、「プロトコルごと」、または「言語および特定の管理モードごと」に算出される場合や、年間の固定料金で請求される場合があります。管理マニュアル、評価およびデータ分析ガイドなどの補足資料、またはライセンサーが実施するトレーニングについては、追加費用がかかる可能性があります。必要な場合は、ライセンサーにこれらの資料を必ず明確に要求してください。

認定販売業者が著作権所有者に代わってライセンスを管理している場合は、併せて追加の使用料および管理料が適用される可能性があります。最終的な算出方法は、個別の許可申請の規定に基づいて決まります。

事前計画:

ライセンス契約には、報告に関する要件が含まれる場合があります。それによってライセンシーは、ライセンサーに対して、臨床試験で著作物を実際に使用した回数を書面で報告することが要求されます (例: ライセンス契約満了時、または毎年)。臨床試験期間を通じて、この情報を必要に応じて利用できるように照合プロセスを確立します。

ライセンス契約の準備としてどのよう情報が必要ですか。

個別のライセンサーの要件によりますが、臨床試験に関わるさまざまな情報の提供が必要になる可能性があります。通常は、臨床試験の依頼者の名前、プロトコル番号、研究フェーズ、治療適応症、開始および終了予定日、参加国といった情報が含まれます。

多くのライセンサーは、ライセンス手続きに関連する要件の概要を示した独自の Web ページをそれぞれ用意しています。ただし、すべての情報に簡単にアクセスできるとは限りません。場合によっては、ライセンサーが具体的な詳細を公開する前に評価できるように、正式な許可申請が必要になることもあります。また、ライセンス要件を特定するために、広範な情報検索やさまざまな情報源への問い合わせが必要となる場合もあります。

事前計画:

参加国を新たに追加するなど、臨床試験の範囲を変更すると、取得済みの許可に影響を及ぼす可能性があります。また、追加のライセンス料の支払いを含むライセンス契約の更新が必要となる可能性もあります。既存のライセンス契約に関連する新しい許可申請の処理を迅速に進めるために、ライセンスの対象範囲での潜在的な変更をどのように管理する必要があるかをライセンサーに確認しましょう。

A closeup of several stacks of paper in black binder clips.

著作物の変更とは何を指すのでしょうか。

実際の試験のニーズに合わせるために、臨床試験の依頼者がオリジナルの著作物に変更を加えたいと考える場合があります。変更は「二次的著作物」と呼ばれます。二次的著作物はライセンサーの IP の一部であり、オリジナルの著作物に加えられたあらゆる変更を含みます。たとえば、質問票の項目の削除や並べ替え、リコール期間の変更、管理手順の変更、モバイル アプリや Web ポータルなどの独自のテクノロジー システムへの著作物の統合などがあります。

二次著作物の作成にはライセンサーの許可が必要です。原則として変更が許可されている場合でも、ライセンサーは、最終的な承認を下す前に二次著作物を確認することを求めることができます。たとえば紙ベースの COA 測定法を電子管理に移行する場合などがこれに当たります。

事前計画:

変更の性質や範囲によっては、ライセンサーが変更を承認するかどうかの決定に先立って、変更を評価するために一定の定性的データや定量的データを求める場合があります。また、最初からライセンサーが受け入れる見込みがないような変更もあります。著作物に対する臨床試験固有の変更案について話し合い、関連する要件や制限を十分に理解するために、早期にライセンサーと連絡を取りましょう。

翻訳に許可は必要ですか。

著作権で保護された著作物をもとに新たに開発される言語版は、二次著作物と見なされます。このため、他言語版の作成にはライセンサーの許可が必要です。一部のライセンサーは、承認済みの翻訳の作成、更新、配布を厳格に統制しています。一方、ライセンシーに翻訳プロセスの全責任を委譲して監視する場合もあります。翻訳の管理に付された特定の条項はライセンス契約に記載されます。たとえば、当該条項に含まれる要件に、新しい翻訳の作成時に特定の翻訳手法や文化的なローカリゼーション手法に従うことや、翻訳プロセスや電子的な適応プロセスにおける特定の段階でライセンサーを翻訳コンテンツのレビューに関与させること、ライセンサーの記録用に最終翻訳/スクリーンショットのコピーを提供することなどが含まれる可能性があります。

事前計画:

翻訳が COA 開発者/ライセンサーの内部チーム側ですでに作成されて承認されている場合でも、この翻訳に対する翻訳証明書 (CoT) が常に用意されているとは限りません。代わりに、COA 開発者が、翻訳の作成時に準拠した翻訳/パブリッシングのスタンダードを記載した文書を提供することがあります。ライセンサーと早い段階で連絡を取り、必要な言語版の承認済みの翻訳がすでに存在するか、またその CoT があるかどうかを確認しましょう。CoT を入手できない場合は、規制関連業務チームと協力して、ライセンサーによって提供される代替証明書の文書が受け入れ可能なものかどうかを確認し、それに応じて次のステップを計画します。

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免責事項: 著作権法および IP 法は複雑で、法域によって大きく異なる可能性があります。前掲の情報は情報提供のみを目的としており、法的な助言には当たりません。
 

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ナタリヤ ボロホフ
著者
ナタリヤ ボロホフ