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ライフ サイエンス翻訳、AI、医薬品の市販後の段階

医薬品ライフ サイクルと AI 言語戦略、パート 3

ライフ サイエンス企業向け AI サービスはこの業界に大きな変化をもたらしました。現在、業界をリードしている多くの企業が、コンテンツの作成、処理、翻訳に関して、1990 年代 (ICH によるハーモナイゼーションが医薬品開発に取り入れられた時期) から採用されている手法を見直そうとしています。ライフ サイエンス翻訳サービスを提供するプロバイダーの多くは、規制対象文書の作成などに生成 AI のメリットを大規模に活用し、そのリスクを軽減するための新たなベスト プラクティスの確立に取り組んでいます。ライオンブリッジでは医薬品スポンサーのお客様に対し、AI を取り入れる際の注意点や推奨事項を把握しつつ、ライフ サイエンス企業向けの AI サービスの導入を本格的に検討することをおすすめしています。    

本ブログ シリーズでは、医薬品ライフ サイクルの各段階について、コンテンツと言語の面、特にライフ サイエンス分野の翻訳とローカリゼーションの面から考察し、規制対象の医薬品に関連する翻訳においても、LLM を安全かつ効果的に活用するための指針をご紹介します。また LLM を導入する場合の課題と、ライフ サイエンス業界における AI の可能性についても取り上げます。

本ブログ シリーズでは前回までに、医薬品ライフ サイクルの市販前および市場投入の段階について取り上げました。今回は新薬市販後の段階に焦点を当てます。

ライフ サイエンス翻訳とローカリゼーション向けの AI サービス: 医薬品の市販後の段階 

医薬品が市場投入されると市販後の段階が始まり、この医薬品の販売が停止されるまで続きます。

市販後の段階では以下のような活動が実施されます。

  • 販売許可の更新、バリエーション、延長

  • 規制当局により当初の販売許可の一環として義務付けられている、市販後の臨床試験の実施

  • 継続的な安全性調査、有効性評価、製品使用方法の最適化のために行う、市販後の安全性調査

  • ラベリングの延長や特殊な集団をサポートするための、市販後の臨床試験

  • 医薬品のベネフィット リスクの包括的で簡潔かつ重要な分析が含まれる、定期的安全性最新報告書の作成

  • 有害反応の疑いを把握するための、事例ごとの安全性報告

  • 製品マーケティングおよびセールス トレーニングの実施

  • ソーシャル メディアでのキャンペーン

デジタル表現による円形の格子状の線

臨床および販売許可関連の言語資産に AI を活用するメリット

新規医薬品に対しては、日常診療における治療法についての知見を増やすことを目的として、市販後に数回の臨床試験が実施されることが多くあります。これは、市販前の段階で臨床試験開発プランに基づいて実施される臨床試験とは異なるものです。市販前の試験では、医薬品の有効性と安全性に関する統計的な裏付けを得るために、一定の要件を満たしたうえで仮説をテストします。これにより、規制当局のレビュー担当者は結果に基づいて製品のベネフィット リスク バランスを判断することができます。市販後の臨床試験の場合は、別のさまざまな目的のためにも実施されます。たとえば、以下のような研究が挙げられます。

  • 長期的な安全性の調査

  • 医薬品の相互作用調査

  • 小児集団を対象とした調査

  • 疫学的調査

研究の目的がなんであれ、市販前の臨床試験で作成した言語レポジトリは、市販後の臨床試験に引き継いで活用することができます。たとえば、翻訳メモリや用語集、専門用語集、スタイル面の取り決めなどの言語資産をプロンプト エンジニアリングに織り込むことで、AI による文章・翻訳の生成結果の改善につなげることができます。医薬品開発の早い段階で言語戦略を確立することで、プロトコルに特有ではない従来からのコンテンツを、全体的な効率化とコスト削減に役立てることが可能になります。

また、販売許可制度は頻繁に改定されるため、市販後の段階にある医薬品に関するコンテンツも、引き続き新規作成または文書化していく必要があります。メーカー各社は、販売許可の裏付けとなる文書を継続的に更新し、対象製品を最新の科学や規制要件に対応させていかなければなりません。その結果、当初の販売許可の後に、市販中の製品に複数のバリエーションが誕生することがよくあります。また、通常、多くの新しい有効医薬成分は販売許可が延長されるため、新たに販売許可申請が必要になります。

有効医薬成分のコンテンツのライフ サイクルは、複数の市販製品や複数の販売許可手順にまたがる場合があります。医薬品スポンサーの多くは、医薬品のライフ サイクル全体や市販後の変更をすべて網羅する言語戦略を用意していないため、多大なコスト削減と言語的な最適化の機会を失っていることになります。また、小規模な翻訳プロジェクトや独立した翻訳プロジェクトに AI を導入しても、期待されるほどの効率向上は望めません。

医薬品ライフ サイクル全体を通じた LLM (大規模言語モデル) の課題とリスク

本ブログ シリーズでは、医薬品ライフ サイクルの市販前、市場投入、および市販後の段階について取り上げました。当社では、LLM を活用して各段階で言語資産を引き継ぐことで、AI を効果的に利用して規制関連翻訳のコストを大幅に削減し、言語の一貫性も高められると考えています。ただし、AI を活用した規制関連翻訳にはリスクも伴います。LLM には「ハルシネーション」(入力データとは一致しない虚偽のコンテンツ) を生成する可能性があります。LLM のこうした問題や課題については、当社の eBook『ライフ サイエンス分野における AI の活用と言語戦略: 知っておくべきこと』で詳しく解説しています。

ライフ サイエンス業界における市販後の段階での AI 活用の機会

  • AI と市販前臨床試験で蓄積された言語資産を活用することで、市販後の臨床試験においてコスト削減と言語的な一貫性を実現できる

  • 当初の販売許認可の後の、販売許可の更新、バリエーション、延長において、コスト削減と言語的な一貫性を実現できる

  • 市販前から市販後の安全性に関する活動で、コスト削減と言語的な一貫性を実現できる

  • 市場投入から市販後の段階で、メッセージと製品表示の伝達において、コスト削減と言語的な一貫性を実現できる

お問い合わせ

医薬品の市販後の段階を対象とした、AI を活用したライフ サイエンス翻訳サービスの利用と課題への対応にご関心があれば、医薬品開発のあらゆる段階に対応し、ライフ サイエンス分野に特化したコンテンツ翻訳サービスとソリューションを提供している当社まで、ぜひご相談ください。皆様からのお問い合わせをお待ちしております。

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執筆者
ライフ サイエンス戦略および製品マーケティング担当 VP、ピア ウィンデロブ