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SSCP: MDR に準拠するための次のステップ

知識から応用へ

ここまで、EU の医療機器規制 (MDR) の要件となっている安全性と臨床性能の要約 (SSCP) と、それに関連した言語面の課題について確認してきました。ここからは、医療機器メーカーがコンプライアンスを維持しながらそうした課題に対処するための方法について取り上げます。

SSCP の対象読者とは

前の記事で触れたように、SSCP には、医療機器を使用する患者 (それが適切な場合) と医療専門家の両方に向けた情報を含めることが求められます。つまり、同じ文書で、求められる読みやすさの基準が異なる 2 つの読者層に対応する必要があります。医療機器調整グループ (MDCG) のガイダンスでは、「ページ区切り」機能で、患者向けと医療専門家向けのコンテンツを区切ることを推奨しています。書式を問わず、メーカーは、タイプの異なる 2 つの読者層と読みやすさのレベルに、1 つの文書で対応できるようにコンテンツを制作する必要があります。科学用語を使う場合と平易な言葉を使う場合では、医療関連のコンテンツの性質が変わってくるため、そのようなコンテンツ制作では課題が生じます。

科学的な知識を持つ読者向けのコンテンツとそうした知識を持たない読者向けのコンテンツは、書式、スタイル、用語が異なり、「言語的に対極」にあります。ガイドラインで推奨されているように、読みやすさのテストを実施することを計画している場合、読みやすさを高めるツールを使用して妥当なアウトプットを得るために、追加工程としてコンテンツを別々の文書に分割する必要がある場合があります。

SSCP の作成および翻訳に関する考慮事項

要約の作成時には、読みやすさ、科学的な妥当性、医療用語、書式とスタイル、非宣伝的な言葉への特別な配慮が必要です。SSCP に関する MDCG のガイドラインでは、非専門家向けの臨床試験結果の要約に関するガイドラインほどはっきりとはヘルス リテラシーの原則に言及していませんが、この 2 つには多くの共通する特徴があります。

対象読者


要約を患者と共有する場合は、まず、誰に向けたものであるかを注意深く検討します。機器の意図する目的によっては、SSCP の平易な言葉で書かれた部分の対象読者が単一でない場合があります。

幼児向けの機器の場合は、要約を親に向けて記述する必要があります。機器のユーザーが青少年の場合は、必要に応じて適切なリテラシー レベルに言語を調整します。対象読者を認識することで、機器の適切で安全な使用を効果的に促進できますが、この領域では言語が大きな影響をもたらします。

読みやすさ

患者の知識レベルに合ったリテラシー レベルで情報を明確に提示する必要があります。患者に医療用語の知識があるという想定はできません。非専門家を対象読者とするコンテンツに関する MDCG の SSCP ガイダンスでは、読みやすさのテストを推奨しています。科学的なコンテンツを平易な言葉で表現するのは容易ではありません。その作業には、医療と言語の両方のスキルが必要です。

SSCP の患者向けのセクションで必要となるコンテンツの例である残存リスクや副作用は、説明や定量化を平易な言葉で表現する必要があります。ほかに患者に伝える必要がある情報には、機器の臨床的背景と、臨床的証拠が別の同等の機器のデータに基づいているのか、それとも臨床試験から導かれたのか、などがあります。医療専門家は臨床的証拠を容易に理解できますが、通常、非専門家はそうした用語を理解できません。(米国の) 6 ~ 8 年生の読み書きレベルで臨床的証拠の端緒を説明するよう心がける必要があります。

科学的妥当性

SSCP にバイアスや「歪みのある」結果が含まれていないことを保証するために、否定的なデータと肯定的なデータの両方を開示する必要があります。結果に歪みがある場合、機器の効果について患者を欺くことになりかねません。

医療用語と頭字語

頭字語や略語の使用は、科学コミュニティでは一般的ですが、非専門家向けの要約には適していません。医療用語や業界の頭字語の使用はできるだけ控えます。使用する場合は、最初に平易な言葉でわかりやすく説明し、さらに続けて医療用語をかっこ書きします。

書式設定とスタイル

コンテンツの構成やフォントのタイプおよびサイズは、読みやすいものである必要があります。SSCP は、ライセンスを必要としない編集不可な PDF 形式でアップロードすべきです。これは、アクセスしやすくすると同時に、発行後に誤った情報が紛れ込んでそのまま広められるリスクを低減するためです。

非宣伝的な言葉

機器の性能について、患者に誤解を与えるような主張をしてはいけません。バイアスを防ぐために、要約は客観的である必要があります。

翻訳支援を受けるには

更新や改訂管理に対応した柔軟なモデルを採用している単一の言語サービス プロバイダーを採用することで、翻訳を一元管理することを検討しましょう。機器の臨床性能と安全性に関するコンプライアンスと情報伝達の一貫性を維持するためには、それが最善の方法です。優れた技術と豊富な経験を持つ言語サービス プロバイダーは、コンテンツの一貫性と読みやすさを保証するために、最適なテクノロジー、ワークフロー、適格な翻訳者をお客様とともに選定します。

ライフ サイエンス向け言語ソリューションを提供しているライオンブリッジは、情報公開の機密性を理解しています。研究結果をすべての市場で正確かつ適切に伝達するには、翻訳が不可欠です。ライオンブリッジ著の臨床試験結果の一般向け要約に関するホワイトペーパーには、初期の推奨事項が記載されています。

MDR の新しい要件を遵守するためにライオンブリッジの言語サービスが提供するさまざまな支援について、ライオンブリッジのライフ サイエンス チームにお問い合わせください。

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Pia Windelov
著者
Pia Windelov