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分かりやすく伝える:臨床試験結果の伝達にまつわる課題

第 3 回 Lay Summaries Summit の成果

第 3 回 Lay Summaries Summit (9 月 24~25 日、フィラデルフィア) の要点

第 3 回 Lay Summaries Summit (年 1 回開催) は 9 月にフィラデルフィアで開かれ、ライオンブリッジは参加した唯一の言語サービス プロバイダーでした。これは弊社にとって驚きでした。なぜなら、研究結果の一般向け要約は、科学的な作業であると同時に言語的な作業でもあるためです。業界を進化させるさまざまな要因を常に把握するという信条は、ライオンブリッジの全社的な DNA に組み込まれています。これによって、弊社はコンプライアンス パートナーとして製薬業界のお客様をお手伝いすることができています。

組織内の変化を促進するにはどうすればよいでしょうか?ここでは、参考になりそうな Lay Summaries Summit の要点をご紹介します。

製薬業界における一般向け要約

一般向け要約とは何でしょう? また、製薬会社にどのような関係があるのでしょうか?

臨床研究の主な結果を簡潔にまとめた一般向け要約は、発生した事象とその原因を、平均的なリテラシーの普通の人が理解できる分かりやすい言葉で伝えるものです。製薬会社は、この一般向け要約の重要性に特に注意を向けなければなりません。EU の新しい臨床試験に関する規制 (EU No. 536/2014) の下、一般向け要約は間もなく (おそらく、2020 年までに)、EU で介入試験を行う臨床試験の依頼者に対する規制要件として義務付けられる見込みであるためです。

製薬セクターは他の業界よりも、倫理行動、科学的信頼性、コンプライアンスに関して世間の厳しい目にさらされる傾向があります。こうした厳しい状況を考えると、臨床試験結果を適切に一般公開する作業は、臨床試験の依頼者にとって簡単ではありません。それでも、世間は臨床研究結果に透明性を期待し (そして必要とし)、被験者は臨床試験の終了時に分かりやすい言葉で書かれた要約を求めます。意外なことではありませんが、2017 年に世界規模で CISCRP によって実施された、臨床研究に対する一般人および患者の意識に関する調査では、一般人の 91% 以上が臨床試験結果の要約を重宝すると回答しましたが、過去に臨床試験に参加したことのある人で試験の要約や結果の改訂情報を受け取ったことがあるのはわずか 51% でした。この隔たりをなくさなければなりません。臨床試験の依頼者は、臨床試験ボランティアと公衆に対して、意味のある臨床結果を提示する必要があります。

討論で浮き彫りになった要点:

1.納得のゆく透明性:Lay Summaries Summit の参加者は「正しいことをする」ための最適な手法に関しては懸念を表しましたが、臨床研究結果の透明性を高め、被験者と世界中の人々に情報公開することに全面的に協力することを表明しました。被験者に臨床試験結果を知らせることは新しい概念ではありません。確かに、こうした形でフォローアップすれば、臨床試験への関心を高め、研究コミュニティ内の信頼を築き、臨床試験の実施時に患者リテンションを促進できます。

2.最大限の整合性:科学的な結果を、省略したり無意識にねじ曲げたりすることなく、適切な一般向けの言葉に変換して伝える作業は困難です。臨床試験の依頼者は、科学的な信頼性を失うようなこと、または結果をねじ曲げた、あるいは結果を「いいとこどりした」と非難されることは断じて避けなければなりません。分かりやすい言葉で結果を明確に伝えるには、人材、トレーニング、資金が必要です。さらに、研究者から臨床試験の終わりに要約を配布するための協力を得ることが難しい場合もあります。このため、要約の配布を促進するプランの策定が不可欠となります。

3.責任あるデータ公開:臨床研究に従事している Lay Summaries Summit の参加者たちは、薬剤認可前の臨床試験の結果を公表することへの慎重論や、極めて重要な第 3 相臨床試験の結果が、投資家、処方医、医療費の支払者、患者をはじめとする外部の利害関係者に与える影響について討議しました。最も重要なのは、責任ある共有です。

言語面での要点

1.一般向け要約の現地語への翻訳は、臨床試験結果を効果的に伝達するための重要なステップです。質の高い翻訳が必要とされ、すべての現地語バージョンはオリジナルの要約に沿ったものでなければならない一方で、文化的教養に関連した固有の原則を適切に取り入れる必要もあります。結果を知らせることには、透明性と情報共有以上のものが求められます。それはコミュニケーションなのです。臨床試験の依頼者のなかには、1 社の言語サービス プロバイダーに翻訳をまとめて依頼する人もいます。これによって、翻訳プロセスを管理し、複数のバージョンができてしまったり、現地語の要約ごとに不統一が発生したりする状況を回避できるためです。

2.一般向けのコミュニケーションは継続的な学習プロセスであり、ベスト プラクティスを共有することには意義があります。Lay Summaries Summit で発表された予備研究では、一般向けの分かりやすい言葉遣いで研究結果を効果的に伝える過程には学習曲線があり、だからこそ経験を共有することが非常に合理的であることが分かりました。言語サービス プロバイダーが毎年 Lay Summaries Summit に参加して、言語面での課題について全体の中で話し合い、翻訳を最適化する方法を判断することのメリットは明らかです。

3.確かに指針となるガイダンスは提供されていますが、すべての点が網羅されているわけではありません。EU の臨床試験に関する規制の付録 V には、一般向け要約に含めるべき 10 項目のリストが掲載されています。MRCT (Multi-Regional Clinical Trials Center and Brigham Women’s Hospital and Harvard) と EU の専門家グループ (欧州委員会の管轄) は、一般向け要約を科学的、宣伝的、偏見的にならないような方法で作成するためのガイドラインを発行しています。このガイドラインは便利であるだけでなく、医療に関する基礎的な読み書きおよび計算能力、および患者中心のコミュニケーション アプローチの原則に基づいています。しかし、こうしたリソースには、要約を文化的に適切な言葉遣いで翻訳するための詳細なガイダンスは含まれていません。これは、言語サービス プロバイダーがお手伝いできる領域の 1 つです。

専門分野を分かりやすく

科学的コンテンツの一般向け要約を作成するには、言語的なスキルと、臨床試験および医療用語に関する経験が必要です。科学的な結果と一般向けの結果の伝え方はまったく異なり、科学的な文章と一般向けの文章の間には、厳密な意味の解釈や構文の規則といった面で言語的相関性は全くありません。

科学的な文章では主に、科学コミュニティ内の仲間に対して客観的なコンテンツを提示することに焦点を当てています。一方、患者中心のコミュニケーションでは、医療に関する知識があることや学術用語を知っていることを前提としない言葉遣いとスタイルで、それぞれ背景が異なる一般人が内容を理解できるよう手助けすることを目指しています。このため、この作業には科学面での能力と言語面での能力の両方が必要となるのです。

ライオンブリッジには、この両方のスキルがあります。弊社は、臨床試験の依頼者の皆さまが、EU の新しい規制と MRCT および EU の専門家グループによるベスト プラクティスに沿った臨床試験結果の一般向け要約を作成、翻訳するお手伝いをいたします。

弊社のライフ サイエンス翻訳チームなら、製薬業界における今後のコミュニケーションを形作る新しいコンプライアンス要件において、お客様が適切に対応できるよう支援できます。詳細については、こちらからお問い合わせください。

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