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2 月 16 日、欧州議会は欧州医療機器規制 (Medical Devices Regulation: MDR) の移行期間の大幅な延長を承認しました。すでに予期されていた今回の延長により、高リスク機器の移行期間終了は 2024 年 5 月から 2027 年 12 月へ延期されます。低リスク機器については期限がさらに延長され、2028 年 12 月までが移行期間となります。
今回の決定は当然のことと受け止められています。2022 年 12 月に発表された更新情報で、欧州理事会は MDR の施行が大幅に遅れていることを認めていたからです。メーカー各社は 2022 年 10 月までに 8,120 件の MDR 認定を申請しましたが、認定件数はわずか 1,990 件に留まっています。一方、医療機器指令 (Medical Device Directive: MDD) と能動埋め込み型医療機器指令 (Active Implantable Medical Device Directive: AIMDD) の下で発行された「以前」の認定 22,793 件のうち、2022 年末までに期限切れを迎える認定は 1,387 件に上りました。2023 年には 4,000 件以上が期限切れになる予定で、2024 年前半にはその数はさらに 17,000 件まで増加する見込みです。
この厳しい状況は無視されていたわけではありません。欧州委員会は MDR 施行のスケジュール変更を検討していることを何か月も前からほのめかしていました。また、医療機器調整グループ (Medical Device Coordination Group: MDCG) は医療機器の供給不全を未然に防ぐための対策を提案していました。その提案の一つが、MDR 第 97 条に基づいて一時的な適用除外を認め、差し迫る危機的状況を避けるというものでした。
一方で、複数の業界団体と多くの中立的識者は、不透明さを増す MDR 施行の成り行きに厳しい目を向けていました。こうした団体らは以前から、「欧州委員会が譲歩しなければ、さまざまな機器が欧州市場での販売から撤退し、地域全体で患者への影響は甚大なものになる可能性がある」と警告していました。
これらの指摘の一部については意見の相違はありません。当然ながら、弱い立場にある患者が苦しむことはだれも望んでいません。各関係組織とも、この最悪のシナリオは現実に起こり得る脅威であり、それを防ぐために思い切った手立てを講じる必要があるという点では一致しています。第 97 条の適用除外に関する MDCG の公式見解では、「患者や医療従事者への安全で効果的な機器の供給に対する影響」を限定することの重要性を強調しています。
MDCG の立場は、主要なアドバイザーかつ MDR 施行を担う各国の機関を代表する組織を兼ねるという、MDCG 独自の役割を反映したものです。守るべき原則を明確に主張する一方で、柔軟な対応を提案しているのはそのためです。第 97 条に基づく適用除外の提案はそのよい例です。適用除外には厳格な条件があり、メーカーがその恩恵を受けるには、まず MDR の遵守を達成するために相当な努力を払ったことを証明する必要があります。適用除外が認められた場合、プロセスを完了する期限も設けられます。
言い換えれば、規制当局は問題の大きさを認識しており、対策を講じる準備はできていましたが、MDR の本来の目的を損ねる可能性がある手立てを講じるつもりはありません。患者の安全性や医療データの質に関しては妥協せず、また、以前の製品に対する適用除外や既得権を認めることもないでしょう。メーカーは猶予を認められるだけで、フリー パスが与えられるわけではありません。
それでは、今回の移行期間の延長で、メーカーとサービス パートナーにどのような影響があり、今後 4 年間にどのような展開が待っているのでしょうか。欧州委員会は、今回の改正に関する説明覚書の中で、今後の道筋を示そうとしています。
まず、「現時点では、適合性評価機関の処理能力が需要への対応には不十分である」という機器メーカーの以前からの指摘について、欧州委員会は認めています。欧州委員会によれば、26 件の適合性評価機関申請が処理中であり、機関の数は増えるとのことです。この処理能力の強化が計画どおり順調に進むのであれば、2024 年 5 月までに新たに最大 7,000 件の認定が可能になります。また欧州委員会は、現在サプライ チェーンの途中にある機器の認定期限が切れても、機器の強制的な「投げ売り」はないと言明しています。この確約により、業界全体の注目を集めていたもう一つの問題が解決します。
ただし、欧州委員会の見解によれば、認定プロセスの加速に業界も協力する必要があります。そのために機器メーカーはまず製造を停止する予定の機器を明確化する必要があるとの主張です。理由は明らかです。業界の開発の見通しが不透明なままでは、機器のクラスに基づいたスケジュール設定はうまくいかないでしょう。
さらに、欧州委員会はもっと現実的な問題について考慮しなければならないかもしれません。EU が行う他の規制と同じく、MDR も補完性の原理を尊重する必要があるため、EU が対応できるのは加盟国が単独で対応できない分野だけです。重要なのは、適合性評価機関の機能は、その機関が拠点としている加盟国のみが監督できるという点です。特定の機器が国内の医療体制から姿を消す見通しとなった加盟国は、プロセスに干渉しようとする可能性が高くなるかもしれません。
検討中の内容は別として、欧州委員会の発するメッセージの核となるポイントはシンプルです。それは「MDR は必ず施行する」というものです。改正されたスケジュールは妥協の産物ではなく、より秩序だった移行のための基盤です。メーカーとそのパートナーが今回の移行期間の延長で恩恵を受けるには、今すぐ行動を起こす必要があるでしょう。