ライオンブリッジ ゲーミング部門の詳細を見る

言語を選択:

ノートパソコンでコンテンツをレビューしている臨床研究者

多言語の EU 市場における規制関連翻訳

コンプライアンスの確保に向けた準備と施策

規制システムが複雑で、さらに域内で 24 の公用語が使用されている EU 市場では、医薬品や医療機器の販売にはしばしば困難が伴います。製造企業、医薬品の治験依頼者、輸入業者、販売業者は、EU の多言語フレームワークへの認識を深め、EU 法体系下における言語の規制の詳細と翻訳プロセスへの理解を求められています。

EU の多言語ポリシーと規制関連翻訳

欧州連合は多言語ポリシーを基礎としており、以下を推進する欧州連合の取り組みにも反映されています。

  • 言語の多様性
  • 異文化間の対話
  • 優れた外国語能力

多言語ポリシーのもと、欧州議会はすべての言語を等しく尊重しており、EU 全体に関わる法令は EU のすべての公用語 (24 言語) で発行されています。

この言語ポリシーに基づき、EU 加盟国は、それぞれの管轄区域において使用言語の取り扱いを決定する権利を専有します。これについては、欧州経済共同体 (EEC) で使用される言語の決定に関して規定する規則第 1 号の第 6 条および第 8 条に以下のように定められています。

  • 第 6 条: 「EEC の機関は、その手続規則において、どの言語を使用するかを事例ごとに規定することができる」
  • 第 8 条: 「加盟国が複数の公用語を有する場合、使用される言語は、当該国の要請により、その国の法律の一般規則によって規定されるものとする」

EEC は、すべての EU 加盟国およびノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで構成されています。ノルウェー語とアイスランド語は EU の公用語 24 言語に含まれていないため、規制関連翻訳ではこれらの言語の翻訳が必要となる場合があります。

加盟国には管轄区域の言語要件を決定する権限があるため、EU 全体レベルの法的刊行物 (EU 医療機器規則 や EU の臨床試験に関する規則など) では、必須の言語は指定されていません。そのため言語に関する要件は、新しい規制の技術要件と同じようには統一されていません。製造企業、治験依頼者、輸入業者、販売業者は、EU および各国の規制を参照して、医薬品または医療機器に関する規制関連翻訳の要件を確認する必要があります。

EU の公用語

27 か国が加盟する EU の現在の言語的状況は次のとおりです。

  • 24 の公用語
  • 3 種類のアルファベット
  • コミュニティ内で使用されているその他の言語: 約 60 種類
  • 175 の国籍

Special Eurobarometer レポート「Europeans and their languages」によると、欧州人の 54% が母国語以外に 1 つ以上の言語で会話することができます。また、母国語以外に 2 つ以上の言語を話すことができる人の割合は約 25% です。ベルギー、フィンランド、ルクセンブルクなど一部の加盟国では、複数の公用語が使用されています。これらの地域では多くの場合、言語に関する現地の要件として、追加の公用語への規制関連翻訳が必要になります。

27 の EU 加盟国における 24 の EU 公用語

27 の EU 加盟国における 24 の EU 公用語を示す画像

デジタル時代と EU における言語の多様性

2018 年、欧州議会はデジタル時代における言語の平等性に関する決議を公表しました。この決議では、デジタル通信の普及により 20 以上のヨーロッパ言語が消滅の危機にあると言明しています。欧州議会は、EU とその所属機関には欧州連合内の言語の多様性を維持し、促進する義務があると述べています。また加盟国に対し、デジタル サービス (モバイル アプリケーションなど) における複数言語の使用を促進すること、およびデータベースとテクノロジーをすべての EU 言語で利用できるようにすることを求めています。

規制関連翻訳への影響とグローバル規制ソリューション

医薬品および調和の取れたデジタル コミュニケーションをサポートするには、規制に関連する多言語の用語集やデータベースが重要となります。これらが存在しない、または整備が遅れている場合、製造企業や規制関連サービス、またはライフ サイエンス言語サービスのプロバイダーは直接の影響を受けます。その一例として、欧州医療機器名称 (EMDN) が挙げられます。EMDN は、欧州医療機器データベース (EUDAMED) の一部として MDR および IVDR に基づいて制定されました。EMDN は現在、イタリア語と英語のみで提供されています。残りの 23 の EU 公用語への翻訳はまだ提供されていません。Medical Device Coordination Group (医療機器調整グループ、MDCG) が 2018 年 3 月に発行した MDCG 2018-2 文書には「EU 公用語はいずれも非常に重要であると認識している」と示されているにもかかわらず、現時点ではこの状況が解消されていません。

医療機器および医薬品の製造企業は、今後数年のうちに、言語における明確性と一貫性の欠如という問題に直面する可能性があります。また、言語サービスを依頼したベンダーに業界向けの統合用語ソースがなければ、言語の明確性と一貫性に不備が生じるリスクもあります。多言語の規制関連用語や国/地域ごとの要件が提供されない場合は、自社の製品ポートフォリオに対応した用語体系や用語集を独自に作成するという方法があります。ライオンブリッジのようなグローバル言語サービス プロバイダーであれば、このような言語資産の構築と管理を支援し、最適な方法での活用をサポートすることができます。

お問い合わせ 

医療機器の開発や医薬品の承認、または医薬品や医療機器の製造販売承認後に関連する翻訳に関してサポートをお求めの場合は、数十年にわたって専門的な医薬系の規制関連翻訳サービスおよび医療機器言語サービスを提供してきたライオンブリッジにご相談ください。製薬会社や医療機器メーカーを対象とする、当社の規制関連翻訳サービスについてご説明いたします。

linkedin sharing button

執筆者、寄稿者
ライフ サイエンス戦略および製品マーケティング担当 VP、ピア ウィンデロブ

お問い合わせ

勤務先のメール アドレスを入力してください