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広告のローカリゼーション

単なる翻訳よりも強く心に響く、全世界の顧客に向けた広告を作成する

広告は世界中のオーディエンスとつながるために欠かせない要素であり、多くの場合は、消費者とブランドの最初のタッチポイントとなります。コンテンツを提供するチャネルの数が増え続ける中で、広告の重要性はこれまで以上に高まっています。

平均的な米国人が 1 日に見る広告の数は 4,000 ~ 10,000 件と言われています。こうした広告の一つひとつが、新しい消費者に自社の商品やブランドを紹介し、他社に先んじて消費者の心をつかむためのチャンスとなります。オンライン、テレビ、高速道路の看板など、世界中のオーディエンスにアピールするチャンスはいたる場所にあります。しかし、広告がそれを見る人の母語にローカライズされていなければ、絶好の広告機会も活かしきれない可能性があります。

誰しもなるべく簡単な方法に惹かれるもので、今ある動画に字幕を追加したり、既存のコピーを翻訳したりといった手っ取り早い手段に目が行きがちですが、それだけでは十分な効果は得られません。広告は、消費者の心に響き、感情に訴えるものでなければなりません。新たな市場で成功を収めるには、その市場の言語や文化を理解し、深いレベルで消費者と結び付くためのコンテンツやメッセージが必要です。広告は「ローカライズ」することで単なる翻訳以上の効果を発揮するようになりますが、それを実現するには、表面的な変更に留まらないさまざまな要素のローカリゼーションが求められます。

ライオンブリッジは、長年にわたって 350 以上の言語で多国籍企業の広告宣伝活動を支援しており、世界屈指の企業による広告制作をサポートしてきた実績があります。当社はこうした長年の経験を通じて、広告ローカリゼーションのノウハウを蓄積してきました。本記事でご紹介するポイントを踏まえて広告コンテンツを制作することで、一大イベントの開催時だけでなく、必要に応じていつでも世界各地の市場にインパクトのある広告を打ち出すことができます。

広告のローカリゼーションとは 

広告のローカリゼーションとは、広告のコピー、デザイン、レイアウトなどを新たな市場、言語、文化に合わせて調整するプロセスです。これは元の広告と同じように消費者の心に訴えて行動を喚起できるよう、新たなオーディエンスに向けて広告を再構成するプロセスであるため、結果としてストーリーやコンセプトが大幅に変更されることもあります。

翻訳が元のテキストの意味を他の言語で忠実に伝えるプロセスであるのに対し、広告のローカリゼーションとは、コンテンツが伝えようとする感情やメッセージに重点を置くものであり、 トランスクリエーションという非常にクリエイティブな作業を含むプロセスです。このプロセスは、動画、音声、印刷物、Web など、あらゆるタイプのメディア広告に適用されます。

メディアには、ローカリゼーションに関してそれぞれメリットと課題があります。またローカリゼーションの目標も企業ごとに異なるため、ローカリゼーションのワークフローは企業や組織ごとに異なったものになります。とは言うものの、これまでに成功を収めたローカリゼーション プロジェクトでは常に、いくつかの共通するプロセスが採用されていました。次のセクションでは、共通するこれらのプロセスについて検討するとともに、非常に効果的な広告の実例を紹介します。

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最初からグローバル オーディエンスを念頭に置く「インターナショナリゼーション」

広告を効果的にローカライズするには、単なる言語やデザインの変更にとどまらない、はるかに多くの作業が必要となります。そのため、元の広告を作成する時点で、対象となる市場と現地の文化を考慮しておく必要があります。それが、インターナショナリゼーションと呼ばれるプロセスです。

インターナショナリゼーションはあらかじめ複数の文化に対応した広告をプランニングおよびデザインするプロセスであり、そうやって作成された広告は、最小限の労力で新たな市場向けに変更、調整することができます。このプロセスは、広告のコンセプトといった概要レベルから、レイアウトやカラー スキーム、俳優の選択といった広告の詳細までを網羅しており、その後のローカリゼーション プロセスに大きな影響を及ぼします。インターナショナリゼーションのプロセスを通して作成された広告は、当初からローカリゼーションのプロセスを考慮してデザインされているため、必要な変更が最小限に抑えられ、結果として時間とコストを削減できます。

以下に紹介する「Meet Me at Starbucks」キャンペーンは、世界各地のオーディエンスを考慮したコンテンツ制作の優れた実例です。

わずか 1 日のうちに 28 か国で撮影されたこのビデオは、スターバックスの顧客を中心に据えて制作されました。ビデオに映る各々のスターバックス店舗はどのような場所や環境にあるか分からなくても、友情、愛、敬意といった共通のテーマは多くの人々の心に響くでしょう。このように、メッセージが地域や国にとらわれないものであれば、世界中の消費者とのつながりをはるかに生み出しやすくなります。

各地のオーディエンスとのつながりを築く

広告には、市場を問わず消費者にアピールできる要素に加え、それぞれの国や地域のオーディエンスが慣れ親しんでいる要素も必要です。こうした要素の導入は、海外市場向けの広告では難しく思えるかもしれませんが、特定の文化圏で広告、そしてブランドをより魅力的に見せる方法は数多く考えられます。

まず重要なのは、その文化圏における一般的な広告スタイルに一致した広告を作成することです。対象市場での標準的な広告のレイアウト、構造、トーン (広告文の語調) を入念に調査しましょう。すっきりと合理的にまとめられた Web ページは、必要な情報をすべて 1 つのページ上で確認することを好む日本の消費者にとっては、物足りなく映るかもしれません。同様に、奇抜で目を引く日本のテレビ CM は、ヨーロッパではダイレクト過ぎて煩わしいと受け取られるかもしれません。

ブランディングにちょっとした変更を加えるのも有効な手段です。たとえば中国市場向けのブランド展開では、多くのブランドが幸運や幸福と関連付けられる赤色を採り入れています。このように、その土地における色のイメージに合わせてカラー スキームを変えることで、その文化に対する理解を示し、消費者にブランドに対する親しみを持ってもらうことができます。また、通常の製品イメージとは少し雰囲気の異なるコピーやテーマを試してみるのもよいでしょう。

Open book of images

ローカリゼーション チームに詳細な情報を提供する

新たな市場での広告の成否を左右するのは、ローカリゼーションに先立つ準備だけではありません。ローカリゼーションを開始した後でも、最終的な広告の品質を高めるためにできることがあります。中でも特に重要なのが、ローカリゼーション チームとのコミュニケーションです。

プロジェクトを開始する前に、概要書、スクリプト、ブランディングに関する文書などを介して、できるだけ多くの情報をローカリゼーション チームと共有しましょう。市場ごとにブランディングやコンテンツを変える場合などは特に、要件を具体的に伝えます。音声の吹き替えや字幕が必要であれば、その理由を説明します。逆にローカリゼーション チームの方から、より効果的な方法が提案される場合もあるでしょう。

ローカリゼーション チームは、与えられる情報が多ければ多いほど、新たな市場で効果を発揮する優れた広告を制作しやすくなります。チームが広告主であるブランドや企業のビジョンを理解していれば、その実現に大きく貢献できるようになります。提供するすべての情報が、広告のローカリゼーションというクリエイティブなプロセスとその結果の向上につながるのです。翻訳用スクリプトに加えて詳細な情報と資料を提供することで、さまざまな言語で最も効果的なソリューションを期待できます。

広告のローカリゼーションのプロセス

広告のローカリゼーションには重要なポイントがいくつかあります。コンテンツとデザインを対象市場に合わせて調整する必要があるのは当然ですが、特に重要な点は、広告が意図する反応を新たなオーディエンスから引き出すことです。この課題の達成には高度なクリエイティビティが求められます。

広告のローカリゼーションにおける重要なポイント:

  • 元のコピーに固執しない: 広告は、見る人々の心を動かすために多くの時間と労力をかけて作成されており、実際に多くの人々に訴求します。ところが、文化が異なれば常識や考え方も異なるため、あらゆる市場で同様のインパクトを得られる保証はありません。ここで力を発揮するのがトランスクリエーションです。広告を確実に対象オーディエンスの心に届けるには、コンテンツの変更をある程度許容する必要があります。多くの場合、このちょっとした柔軟性が広告の成否を左右することになります。
  • エンゲージメントの向上にはデザインとレイアウトも重要: 特定の文化に限定される要素を含まないよう、細心の注意を払って作成された広告でも、そうした要素が何らかの形で表れてしまうことはあります。ローカリゼーション プロセスでは常に言葉の選択やトーンを見直す必要がありますが、同時にデザインを見直すことも、この問題をある程度緩和するのに役立ちます。翻訳でうまく伝わりにくいコンセプトがある場合、そのコンセプトから注意をそらすようなデザインやレイアウトがないか確認してください。そうした要素を修正することで、重要なメッセージに的を絞った広告を制作できます。
  • 常に細部に気を配る: 特に、日付と時間の形式、通貨単位や数値などの記載には正確を期してください。このような項目に誤りがあると、オーディエンスは最初からその市場向けに作成された広告ではないという印象を強く受けます。
  • 品質保証には現地の専門家を採用: 品質の問題については多くの場合、翻訳者が優れた情報源となりますが、必ず対象市場に在住する専門家に広告のチェックを依頼することも重要です。当該地域の事情に詳しい専門家であれば、その広告が現地のオーディエンスの心に本当に響くのか、実感に基づいて効果を判断できます。
Person using social media on a phone

メディアごとの注意事項

上記の事項に留意してローカリゼーションを進めていけば、グローバル市場を対象とした効果的な広告の作成に向けて着実に前進していると言えます。ここまでに紹介したポイントはすべてのメディアに共通する全般的なものですが、広告のローカリゼーションには各メディアに固有の注意事項もいくつか存在します。以下のセクションでは、そうした注意事項について説明し、それぞれのメディアでの優れた広告例を挙げています。これらの例に見られるように、どのメディアにおいても広告を適切にローカライズすれば、新しいオーディエンスに適切なメッセージを届けられます。

動画

動画は修正が最も難しい部類のメディアであり、慎重な準備が不可欠です。アラブ諸国では広告に女性の髪や手を映さないなど、撮影時には対象市場でタブーとされる事項に注意しなければなりません。また、視覚的慣習という観点からも、広告を対象市場に合わせて調整する必要があります。たとえば、当該地域のメディアではオブジェクトが画面の左から右、右から左のどちらに移動するケースが多いかといった点です。こうした一見些細と思われる視覚的慣習の違いによって、広告の受け止められ方が大きく変わります。

もう一つ考慮すべき点は、新たな市場向けに音声を吹き替えるか、字幕を追加するかの判断です。どちらが好まれるかは国によって異なるからです。この点に関するベスト プラクティスについては、こちらのブランド ビデオのローカリゼーションに関するブログで紹介しています。

下の動画は、ほぼどの市場でも使用できるようにローカライズされた広告の例です。この広告でも、言語、設定、文化を超えて共通するシンプルなテーマを題材としています。さまざまな「家族での食事」を描くこの動画は、グローバル オーディエンスを考慮して見事に作成されています。

Web 広告

有料の Web 広告はスペースが限られていることから、ローカリゼーションの際に特有の課題が生じます。デザインとコピーをブランド メッセージと一致させる必要がありますが、与えられたスペースに収まる限られた語数でそれを実現するのはなかなか難しいものです。間違いや誤字脱字は許容されないため、コピーのチェックには十分な時間を確保してください。また、そうした多大な努力の成果を最大限に活かせるように、海外 SEO にも注力しましょう。

下のバナーは、ローカリゼーションにおける言語間の違いに的確に対処しています。「プライバシー」を示すドイツ語の単語は、英語の単語「privacy」より 50% 近くも長くなります。単語の長さの違いから生じるこのような問題は、広告のデザイン、UX、印象に大きく影響する場合があります。このバナーでは、どの言語でもコピーを短く維持できるように簡潔でインパクトのあるスローガンを採用しています。短いながらも見る人に強い印象を与え、製品自体にも目を向けさせ、そしてブランドにも忠実な、優れたスローガンです。

Advert of person holding phone with German text

SNS 広告

SNS 広告は、オーディエンスにパーソナルなメッセージを届けられるツールです。ローカライズされた下記の広告は、オリンピック選手とその母親の関係をテーマにしています。このようなメッセージはとてもシンプルで個人的なものであるため、ほぼすべての言語に翻訳でき、あらゆる人の心に響きます。

localized Instagram advertisement related to Olympics with man and woman holding hands above their heads celebrating

ソーシャル メディア キャンペーンでも、有料広告と同様に、オーディエンスをセグメント化してよりパーソナライズされたメッセージを発信できます。各プラットフォームが提供する有料ツールを使って特定のセグメントを対象にソーシャル メディア キャンペーンを展開し、しかも適切にローカライズされた広告を投入できれば、エンゲージメント率の飛躍的な向上が期待できます。

ローカリゼーション パートナーの協力を得る

ローカリゼーションは新たな市場への参入を支える基盤となりますが、それだけではありません。ローカリゼーションがますますクリエイティブなプロセスになり、マーケティングが一層グローバル化する今日、両者の関係は切り離すことができないほど密接になっています。企業の持つクリエイティブ アセットを最大限に活用し、世界中でブランドの認知度を高めるには、マーケティングとローカリゼーションの両方が不可欠です。そしてここで重要なのは、ローカリゼーションは単にマーケティングの基本要素というだけでなく、「機会」でもあるという点です。ローカリゼーションを効果的に行うことができれば、広告の ROI 向上と市場投入の迅速化を実現し、世界中の消費者を魅了するブランドを築くことができます。

世界有数のローカリゼーション プロバイダーであるライオンブリッジなら、各種の優れたサービスを通じて広告のローカリゼーションをお手伝いし、お客様のビジネス展開をあらゆる段階で支援することができます。当社は音声や動画、印刷物、Web サイト/ページなどの制作において 20 年以上の実績を持ち、信頼されるパートナーとして世界有数の企業のお客様を長年にわたって支援してきました。

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当社ならではの包括的なマーケティング ローカリゼーション サービスの詳細と、顧客エンゲージメントを促進してグローバル市場でのプレゼンスを強化する方法について、担当者よりご説明させていただきます。ぜひ当社までお問い合わせください

注: このブログ記事は 2022 年に公開された記事の改訂版です。

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