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翻訳を前提としたコンテンツ制作の重要な 10 のヒント

コストを削減して納期や市場投入までの期間を短縮

グローバル化がますます進む今日の市場では、翻訳向けに最適化された文章が求められるようになっています。多くの企業が英語を話す人々だけでなく、できるだけ多くの市場とその消費者にアプローチしたいと考えています。コンテンツ翻訳を効果的に行うための手段として、原文テキスト (翻訳元のテキスト) の作成の在り方について検討する必要があります。原文テキストは、コンテンツを他言語に翻訳する際の基盤となるものです。翻訳対象言語の数が多くなるほど、原文コンテンツが及ぼす影響も大きくなります。そのため、後に翻訳されるテキストを作成する際は、計画を立てることが非常に重要です。

後に世界中の人々に向けて翻訳される原文テキストの適切な書き方を学ぶことで、納期の短縮、コスト削減、迅速な市場投入を実現できるようになります。このアプローチでは、より簡潔で、文法的に正確かつ効率的なテキストが求められるため、原文テキスト自体の質も向上します。翻訳を前提とした原文コンテンツ制作のための重要な 10 のヒントについて、ぜひ以下をご一読ください。なお、この記事では原文として英語を使用することを前提としています。

#1 翻訳を前提とした文章では簡潔さを心がける

1 文を 20 単語程度に抑えることで、コンテンツ翻訳作業のスピードを高めることができます。この長さなら、ほとんどの場合は文章が複雑になりすぎたり、読みにくくなったりすることがないためです。また 20 単語以下という長さは、最も費用対効果の高い翻訳サービスの一つである機械翻訳 (MT) にも適しています。文章を声に出して読むことで、文章の簡潔さや読みやすさを確認できます。

#2 可能な限り標準的な英語の語順に従う

シンプルで予測可能な文章構造を使用することで、マーケティング、法律、Web サイト、その他の翻訳におけるエラーを回避できます。適切な文法、句読点、および以下の構造を採用すると、コンテンツ翻訳のスピードが高まり、コストも削減されます。

文法の例

翻訳向けの文章が文法的にシンプルでエラーがなければ、翻訳者からの質問や翻訳時のエラーを減らし、コンテンツ翻訳の遅れやコスト増加を防ぐことができます。

#3 複数の名詞が連続するフレーズは使わない

一般的に、名詞の連続はどんな文章においても好ましくありません。これは特に、翻訳を前提とした文章の場合は重要です。名詞の羅列は翻訳者にとってだけでなく、ネイティブ スピーカーであっても理解しにくい場合があります。さらに、各語をつなぐ言葉が省かれている場合、読者は単語同士の関係を推測しなければなりません。翻訳者が理解できない文章がある場合、翻訳者はそれについて質問する必要があります。場合によっては、本来の意図が誤解されて受け止められてしまうこともあります。翻訳者が名詞の羅列を不正確に解釈したり、あるいは直訳して不自然になってしまったりすることもあります。こうしたテキストを複数の言語に翻訳しようとすると、遅延が何度も生じ、翻訳コストの増加につながることになります。こうした問題を回避するため、翻訳プロセスを開始する前に、複数の名詞が連続するフレーズを特定し、修正するようにしてください。

#4 コンセプトを表す用語は固定する

文章の種類によっては類義語の使用が推奨される場合もありますが、翻訳を前提とした文章においては問題となります。ある特定のコンセプトを表す場合は、一貫した 1 つの用語を使用するようにしましょう。そうすることで、翻訳プロセスにおけるエラーや質問を回避しやすくなります。またコスト削減や納期短縮にもつながるほか、一貫した用語を使用することで、翻訳メモリの活用度も高まります。翻訳メモリ (TM) とは、言語サービス プロバイダー (LSP) が翻訳サービスを遂行する際に作成される、原文と訳文を記録したデータベースです。LSP が翻訳メモリを活用できれば、翻訳プロセスをより合理化することができます。翻訳メモリの使用は、翻訳のコストと所要時間の大幅な削減につながります。

類義語の例

#5 翻訳を前提とした文章では、ジョークや特殊な用語、慣用句、隠喩を使用しない

こうした表現は原文テキストの読者にとって面白く、ユーモアを取り入れることができる一方で、その翻訳プロセスにはさらに時間がかかり、コストの増加につながります。また、そのような表現の多くは原文の言語では意味を成すものの、別の言語では同じように表現できないことがほとんどです。こうした表現が不正確に翻訳されたり、翻訳者が作業を中断して質問したりすることで、翻訳プロセスの遅れにもつながります。

コンテンツにユーモアを取り入れる必要がある場合は、言語サービス プロバイダーと連携してトランスクリエーションを行うことをお勧めします。トランスクリエーションとは、原文テキストに含まれるメッセージの意図を、同じ効果、スタイル、トーン (語調) を備えた、別の言語の表現で伝えるサービスです。言語サービス プロバイダーは、直訳して意味が伝わらなくなることを避けるため、対象となるオーディエンスの文化的・言語的背景に合わせてテキストを変更・調整します。そうすることで、翻訳版でも原文テキストの意図を維持し、同様のインパクトを持たせることができます。

例: 「場外ホームランを打つ」は「大きな成功を収める」ことを表します。この表現は野球に関するもので、野球が人気の米国の人々はその意味を理解できますが、そこまでの人気がないヨーロッパなどの地域では、翻訳者を困惑させる可能性があります。

野球のボールとグローブ

#6 日付や時刻は明確に記載する

日付や時刻の表記は国や地域によって異なります。この種類の情報は非常に重要であるため、原文テキストでは日付と時刻を明確に示す必要があります。日付や時刻が不明瞭だと、参加者が間違った日時に会議やイベントに来てしまうといった問題につながりかねません。曖昧さを避けるため、次のヒントを参考にしてください。

  • 月はその完全な名称を書き出すか (「January」など)、スペースに制約がある場合は略語 (「Jan」など) を使用する。
  • より明確になるのであれば、「午後、午前、夕方」などの時間帯を示す語を追加する。
  • 何がいつ起こるのか (または起こったのか) をより明確にするために、翻訳者や対象オーディエンスに向けたコンテキスト情報を追加する。
  • 時間や日付の標準的な表記方法を社内のスタイル ガイドで規定する。

例: 09/07/2025 は何月何日を表すでしょうか。米国などの国では、これは 2025 年 9 月 7 日を表します。しかしヨーロッパの一部の国々では、2025 年 7 月 9 日を意味します。この日付を正しく伝えるためのベストな方法は、月を数字ではなく単語で表記することです。

#7 「That」や「Which」などの関係代名詞を使う

こうした関係代名詞を使うことで文章の構成が明確になり、翻訳者が文意を理解しやすくなります。迷った場合は関係代名詞を使用しましょう。当然理解できるはず、と想定してはいけません。たとえば、次の例を見てみましょう。

「The software he licensed will expire soon」と「The software that he licensed will expire soon」(彼がライセンスを取得したソフトウェアはまもなく使用期限が切れる)

「that」を加えた 2 番目の文のほうが、意味を把握しやすくなっています。こちらのほうが読者にとっては、「そのソフトウェア」が「彼がライセンスを取得したもの」であることが明らかです。

#8 翻訳を前提とした文章には受動態でなく能動態を使う

全般的に、能動態で書かれたテキストのほうが翻訳しやすいと言われています。能動態では文章がより短く明確になるため、翻訳者による誤訳や勘違いを避けることができます。たとえば、次の例を見てみましょう。

「The software was upgraded by the user.」(そのソフトウェアはユーザーによってアップグレードされた) と「The user upgraded the software.」(ユーザーがそのソフトウェアをアップグレードした)

2 番目の能動態の文のほうが短く、より明確です。翻訳者や対象オーディエンスが「誰が」「何を」「どうしたのか」について迷うことはありません。

#9 句動詞を使わない

後に翻訳対象となるテキストでは、句動詞 (動詞と副詞、または動詞と前置詞、さらにはその両方を組み合わせて構成されたフレーズ) の使用は控えましょう。句動詞は複数の意味を持つことが多いため、翻訳プロセスの妨げとなる可能性があります。また、やや口語的でもあるため、使用することはあまり望ましくありません。句動詞は通常、2 語または 3 語からなる動詞表現です。いくつか例を挙げます。

  • Abide by (従う、順守する)
  • Account for (占める、説明する)
  • Add up (合計する、~になる)
  • Advise against (~しないよう忠告する)

#10 翻訳を前提として文章を書くときはテキスト量の増加を予想する

翻訳されたテキストを既存のデザインに組み込むことを予定している場合は、翻訳版では必要なスペースが大幅に増える可能性を考慮する必要があります。場合によっては、翻訳されたテキストが原文よりも最大で 35% も長くなることがあります。原文テキストからの翻訳時には、いくつかの要素が増加 (もしくは減少) する可能性があります。

翻訳によるテキストの増加 (または減少) には、以下のような要因があります。

  • 文の長さ
  • 単語の長さ
  • 段落の長さ
  • ドキュメントやテキスト全体の長さ

このテキスト量の増加または減少により、テキストが指定されたスペース内にうまく収まらないなど、パンフレットのデザインや Web ページのレイアウトに問題が生じることがあります。こうしたテキストの増加にうまく対応するには、それに対処するための計画を予め組み込んでおきましょう。また原文テキストを短くして、翻訳のスピードを上げることもできます。

例: ドイツ語の「Rechts­schutz­versicherungs­gesellschaften」という単語は、「insurance companies providing legal protection (法的保護を提供する保険会社)」を意味します。この語は日常的に使用される最長のドイツ語単語として、ギネスブックに登録されています。想像してみてください。標準的な長さの 5 つの英単語 (insurance companies providing legal protection) を想定していたデザインに、この長い 1 つの単語をうまく配置するにはどうすればよいでしょうか。

翻訳者には必ず補足資料を提供する

高品質なコンテンツ翻訳を得るうえで重要なのは、コンテンツの内容だけではありません。同時に、言語サービス プロバイダーに必要なあらゆる資料を提供することが重要です。原文テキスト以外の資料も提供することで、言語サービス プロバイダーは御社のニーズにより対応できるようになります。可能であれば、以下のような資料の提供をご検討ください。

  • 御社のスタイル ガイド
  • コンテンツの関連する参考資料 (存在する場合)
  • 本文中の重要な用語をまとめた用語集
  • 御社の翻訳ガイドライン (存在する場合)
  • SEO の効果を高めるためのキーワードのリスト (該当する場合)
  • 最終的な翻訳版コンテンツに含める画像

さらに、上記以外の資料も提供することで、よりすばやく正確な翻訳が可能になります。こうした準備には多少時間がかかることもありますが、翻訳にかかる時間とコストの大幅な削減につながります。

AI の使用を検討する

多くの企業が、コスト削減と納期短縮に向けて、言語サービス プロバイダーに AI 翻訳サービスの提供を求めています。ただし、翻訳に進む前の段階で AI ソリューションを利用することもできます。翻訳が難しいと思われるコンテンツについては、言語サービス プロバイダーに送る前に、AI トレーニングや AI ツールを利用して、事前にコンテンツのレビューを実施することを検討してください。適切なプロンプトを使用して AI システムをトレーニングすることで、テキストに偏見や受動態、句動詞、慣用句、名詞が連続するフレーズなどが含まれていないかどうかをチェックできます。AI を使用する際には、特定のリスクがあることにも注意する必要があります。選択した AI ツールが安全なものであることを必ず確認してください。また人間参加型 (ヒューマンインザループ) のアプローチを採用して、コンテンツに関する AI のフィードバックを人間がレビューすることも重要です。AI は時折エラーを起こすことがあり、そうしたエラーは「ハルシネーション」と呼ばれています (ハルシネーションとは、AI システムにとってもっともらしく思われるが、事実に即さない無意味な情報を指します)。

お問い合わせ

翻訳コストの削減をお考えの場合や、グローバル市場への参入を検討されている場合は、ぜひライオンブリッジにお問い合わせください。ライオンブリッジが提供する翻訳サービスについて、当社の担当者が詳しくご説明いたします。

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執筆者
ステファニー フリッシュクネヒト

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